インタビュー

研究者として活躍している卒業生に聞きました

研究者として活躍している卒業生に聞きました

吉田 航
海陽学園1期生(2012年卒)
国立社会保障・人口問題研究所

海陽学園の卒業生は多種多様な分野で活躍しています。今回は2012年に卒業し、現在は研究者として活躍されている吉田さんにお話を聞きました
※吉田さんの著書「新卒採用と不平等の社会学」(ミネルヴァ書房)は海陽学園図書館にも所蔵されています

まずは自己紹介をお願いします。

海陽学園の1期生です。大学院では社会学を専攻しており、日本企業の採用行動がいかなる不平等を作り出しているかを、採用実績データを用いて研究してきました。これまでの研究成果は、2025年3月に上梓した単著「新卒採用と不平等の社会学」(ミネルヴァ書房)にまとめています。現在は、国の研究機関である国立社会保障・人口問題研究所で研究員として勤務しており、人口推計や、結婚や出産に関わる調査分析を業務として行っています。

在学時はどのような学生でしたか。

私自身にせよ友人にせよ、「こんな学生だった」と一言で要約しきれないことが、6年間の全寮制という濃密な時間を過ごしたことの証左かもしれません。勉強だけでなく、中1から高3まで所属したフラッグフットボール・アメリカンフットボール部での活動、スポーツフェスタなどの各種ハウス行事も、(大変なこともありつつ)楽しんでいたことが、こうした「まとめきれなさ」につながっているように思います。
振り返ってみると、これと決めたことを、地道にやり続ける集中力はもっていた気がします。フットボール部では、クリーンという下半身を中心に瞬発力も鍛えるトレーニングを継続して行っていました。そのおかげで相手のタックルを外せたと感じた瞬間が一度だけあり、そうした瞬間は(とても地味ですが)何にも代えがたいものでした。

海陽学園での経験が現在のお仕事に生きていることはありますか。

研究内容との関わりは、上記の本のあとがきに書きましたので、ぜひお手にとって読んでみてください。やはり、フットボール部の顧問の先生や、中学時代のハウスマスターに厳しく鍛えていただいた経験は、今の人格形成に一定の影響を与えています。教わったことを最もシンプルにまとめると、「(自分にも他人にも)嘘をつかないこと」になるでしょうか。仕事をするうえで、この教えに立ち戻る場面も少なくありません。
中学時代に毎日書いていた日誌、何らかのお題について数百字の文章を書き続けるという経験も、現在の仕事にダイレクトに活きています。毎回ハウスマスターやフロアマスターのコメントが返ってくるわけですが、「え、ぜんぜん言いたいこと理解してないじゃん」と思うこともあるわけですね笑 そうしたやりとりが、意図を誤解なく伝えるために文章の組み立てを工夫する、貴重なトレーニングの機会になっていました。

卒業後に感じる海陽学園の魅力はありますか。

他の卒業生とも重なりますが、お互いに「格好をつけなくてよい」友人ができることの価値は、卒業後に何度も実感しています。折に触れて耳に入る、同期や後輩の活躍も、つねに刺激になっています。また、普通の学校であれば、馬が合わない相手とは関わらないという選択もできますが、全寮制ではそうもいきません。そうした相手と、どう折り合いをつけていくかを模索した経験は、社会に出てから確かに活きています。
他の学校と比べると、時間的なゆとりがある点も大きな魅力でした。通学時間は5分もなく、放課後慌てて塾や習い事に行くこともない。そうした時間のなかで、友人だけでなく、フロアマスターなど身近な大人と関わりながら、自身の将来について、あれこれ悩みつつ真剣に考えつづけられたのは、とても贅沢な青春時代の過ごし方でした。

最後に卒業生として、在校生や海陽学園への受験を検討している受験生にメッセージをお願いします。

【在校生へ】
自分の頭で考え、自分の足をつねに動かしながら、たくさん失敗してください。6年間の全寮制という濃密な時間は、たいていの失敗や悩み、迷走や試行錯誤もすべて受け止めてくれます。そういった経験の積み重ねこそが、自分という人間の幅を広げていたことに、卒業してからきっと気づくはずです。

【受験生へ】
海陽学園は、いわゆる「普通の」進学校ではありません。全寮制は言うまでもなく、企業で働く若手社員(フロアマスター)との交流、ハウスの行事企画……10代の経験としては、どれもなかなか珍しいものです。こうした機会を前にして、どこかでワクワクを感じてくれるのであれば、ぜひ海陽学園に入学して、そうしたチャンスを思いきり楽しんでほしいと思います。