インタビュー

”数楽”の伝道師!数学科の教員に聞きました

”数楽”の伝道師!数学科の教員に聞きました

黄瀬 正敏
数学科 教諭
京都府出身

海陽学園の特長の一つが、先生たちが繰り広げる熱のこもった授業です。その中でも今回は生徒たちから「授業が楽しい」と評判の黄瀬先生(数学科)にインタビューしました。

まずは自己紹介をお願いします。

黄瀬 正敏(きせ まさとし)と申します。私は数学を「数楽」と書くほどこの学問が大好きで、日々そのすばらしさを伝道すべく布教活動(授業・講習・補習など)に励んでいます。以前は京都府立の高校で教員をしていましたが、中学生を教えたいという気持ちと、数楽の教員として一生を全うしたいという思い、そして海陽学園におられた尊敬する先生からお声をかけていただいたことが縁で、家族5人で蒲郡に転住しました。海陽学園に来てからは、小学生を対象とした算数講座にも目覚め、本校のオープンスクールでの体験授業をはじめ、塾や科学館などでも算数講座などを行っています。直近では蒲郡・豊川・豊橋・刈谷といったところで実施してきましたし、今後も実施予定です。

黄瀬先生の授業は生徒にとても人気です。その秘訣は何でしょうか。

誰がそんなことを言ってくれていますか(笑)。「数楽教養講座」のことでしょうか。実は、数学が得意な生徒の鼻を折るのが大好きでして、問題が解けて満足している生徒に「この答えで終わると思っているの?」などと声をかけて生徒の困っている顔を見るのが大好きです(笑)。一方でこちらの用意していた解答より良いものを提示されて、しばしばやられたりすることも楽しいことです。昨年度は3回開催し、そのうち1回は保護者の方も参加可能な形で実施しました。今後も継続的に開催したいですね。

「数楽教養講座」について詳しく教えてください。

前期生(中学生)の希望者を対象として放課後に開講する、授業では扱わないような、実験や戦略を立てるなどの数楽的活動を伴った講座です。海陽学園に来てから今まで100回近く違うネタで勝負してきました。ネタ作りのためにいろいろな本を読み教材化することはとても大変ですが、私にとっては至福の時間です。その講座で「自分自身の正の約数をすべて足したものが自分自身の2倍となる自然数を完全数というが、それが3倍となる3桁の3倍完全数を求めよ」という出題をしました。2つあるうちの答えの1つが672なのですが、足してみると2016。ちょうど2016年のことでしたので「これは!」と思い、「きっとどこかの大学の入試問題で出ます」と生徒に発信したところ、見事その直後に名古屋大学の入試で出題されました。また、異学年との対戦も取り入れるなど工夫しながら講座を展開しており、前期生のうちからこういった経験をすることで、学問の楽しさを知る教養豊かな人材が育っていくのだと思っています。

授業をするうえで大切にされていることを教えてください。

まず、私も生徒も楽しく積極的に参加することを心がけています。教室ではこちらの一方通行ではなく、生徒からの意見が出やすいよう「この式を見てどう思う?」と問いかけたり、「答え」ではなく「考え方」を要求するように発問しています。また、教具を使った体験的な授業展開にも挑んでいますが、時間の制約もあって毎回できる訳ではありません。通常の授業においては、やらなくてはならないことをテキパキとこなした上で、前向きに取り組む姿勢が大切になってきます。例えば、私の担当クラスでは授業が始まるまでの休憩時間中に、前回の授業で生徒たちに出した宿題の板書が完了しており、チャイムが鳴って10秒後には解説に入ることができています。こういったことの積み重ねで、授業の余った時間には「数楽」に関する雑談をどんどんするようにして、好循環を生んでいきます。

生徒に伝えたいことを教えてください。

「いつも刺激を与えてくれてありがとう」と伝えたいです。私が生徒たちに望むのは、「学問に対して学ぶことを楽しむ姿勢を持ち続けてほしい」ということです。学びにより成長し続けることで、最終的に何かを成し遂げることに繋がると思っています。誰かと比較して一喜一憂するのではなく、例えば大学入試ですらもゴールではなく人生の通過点として捉え、その先にどんどん進めるよう前向きに生きてほしいです。

海陽学園への入学を検討している方々に一言お願いします。

ぜひ海陽学園に足を運んでください。一度お越しいただければ魅力は十分に伝わると思います。海陽学園にはいろいろなバックボーンを持った教職員が揃っていますので、数学だけでなく、各所にワクワクするようなものを感じてもらえると思います。また、素晴らしい生徒や卒業生たちと接してきた経験から、この学校の1番の魅力は「同級生だけでなく先輩・後輩との深い交流」だと断言できます。私たちの指導以上に24時間一緒に過ごす仲間との交流によって深く学び成長していく姿は、なかなか他の学校には真似できないことだと思っています。機会がありましたらぜひ、直接海陽生の生の声を聞いていただければと思います。ちなみに私の息子も海陽学園でお世話になっております。日頃は親子の会話はしないようにしていますが、長期休業時に話を聞くと、「海陽学園での生活が楽しい」と言ってくれております。本人が親元を離れて全寮制に飛び込む気持ちがあるならば一保護者としてもお勧めの学校です。